結城紬や桐だんすをはじめ、歴史のある古い城下町・茨城県結城市。この街にマユ殻を使って小物類から帽子、バッグまでを手作りしている、市村まゆ工房があります。JR水戸線・結城駅南口から徒歩1分の場所に店を構え、作品作りに精を出すのは、市村マツさん。元々養蚕が盛んな土地であったこともあり、市村さんにとっては、マユ殻に着目したのは自然の成り行きでした。袋物工芸の通信教育を受け、準師範の技能資格を取り、コツコツ小物類を作り始めたところ、友人らからの引き合いが多くなり開店にこぎつけたのが25年前。あと数年で80歳に手が届くマツさんですが、アイディアの泉は涸れる事がなく、創意工夫で様々なものを作り出しています。

 

カードケースができるまで!

イメージが湧いて

量販店で売っているカード収納用のビニールケースを見てイメージが湧きました。冊子状にとじられたケースに、しっかりした、おしゃれなマユ殻のカバーを作ってみたいと思ったのです。皮で縁をつけたものやロックミシンで縁止めをしたものなど、どれも使い勝手がよく、壊れにくい工夫が凝らしてあります。

原料確保の苦労

素材のまゆ殻は、乾燥させただけの「乾まゆ」を使います。始めたばかりの頃は乾まゆの確保が困難でした。養蚕農家に知り合いもなく、分けてもらうことが難しかったのです。種取りに使ったまゆを分けてもらったり、試験場で卵をもらい、自分で養蚕したこともありました。「マユの研究をしている人には随分助けてもらいました」とマツさん。思わず手を差し伸べたくなる人柄のゆえです。

難しかった加工

染めは、化学染料のほか、玉ねぎやシソなど自然のものを利用。その時々で、二度と出せない色合いが出現します。染まったマユ殻は一片が2×4cmぐらいの小ささで、実は見た目よりも硬く、平らにするのが大変でした。木の板に布をかけた、特製のアイロン台を作り、生乾きのうちに力を込めて伸ばすやり方で、うまくいくようになりました。

 

乾マユの両端をカッターで切り落とし、開きます。

洗剤を使って洗います。多いときは洗濯機を使用。

あまり煮過ぎないようにして、染めます。

生乾きの状態で一つひとつアイロンを掛けます。

糊付きパネルに貼り込み、1枚の布状にします。

千鳥ミシンをかけてつなぎ合わせていきます。

 

ここが匠の技!

小さな店内はマツさんの作品で埋め尽くされています。マユののれんは夢の中に出てきたもの。様々な形の帽子は、「同じ藍で染めたのに、こんな淡い紫になったり、グリーンになったりする」とマツさん自身も首を傾げています。小さなマユ辺も、簡単に捨ててしまう気にはならず、切り落とした両端の丸い部分で、かわいらしいストラップが完成したり、煮すぎてやわらかくなってしまったマユ殻は考えた末、肌をマッサージするパフにしてみました。これが好評で、リピーターが多い商品の一つになりました。

「勉強は嫌いでしたよ」と笑うマツさん。今は作品作りのために、道具から自分で工夫して、考えたり手間を掛けたりすることが喜びのようです。帽子は寸法を測りながらミシン掛け。マユを扱い慣れたマツさんだからこそできる作品です。近頃では「長生きして作品作りを続けていって」とお客さんに声を掛けられるとのことです。

 

市村まゆ工房 アラカルト

左の帽子は藍の生染めによるもの。帽子は形を美しく作るのが難しいですが、マツさんの熟練した技によって可能な作品です。山マユという普通のマユより大きいものを使用したがま口。緑の色は山マユ本来の色です。今年の干支、「巳」をマユ殻で作ったらこんなにかわいらしくなりました。実は十二支すべてあります。灰汁を抜いたシソの葉で染めた「お薬手帳入れ」。健康保険証なども一緒にしておけば、便利です。サンショウで染めたバッグもあります。

Information

市村まゆ工房
住所 茨城県結城市結城13596
営業時間 10:00〜16:00
定休日 不定休
お問い合わせ TEL:0296-33-9957
携帯:090-7400-6389
市村まゆ工房

 

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