茨城県西部に位置する筑西市に、親子三代続く桐下駄工房「桐乃華工房」があります。静岡県の駿河塗下駄、香川県の志度桐下駄と並び、日本三大下駄産地の一つともいわれる結城地方ですが、産地として隆盛を誇ったのは1950年代まで。生活様式が洋風に一変し、下駄の需要は下降の一途に。そんな中、素材もデザインも工夫を凝らした下駄を作り、年に10作は新作を発表しながら、確実にファンを増やしてきたのが桐乃華工房です。同時に、関東地方で唯一、原木の製材から製造まで一貫作業で行っている工房でもあります。自由に使える素材、幅の広い応用力のある技術、それらがかみ合った創作下駄の完成度の高さは折り紙つき。同時に伝統の柾目の下駄への愛着も揺るぎないものがあります。

 

桐乃華工房の下駄ができるまで!

柾目の下駄ができるまで

とにかく面白い下駄

一代目猪ノ原昭吾さんは、土台だけとはいえ月に1万足も売れていた最盛期にも、遊び心のある「面白い下駄」を作っては周囲を喜ばせていました。とにかく大きかったり、高かったり…。「おやじの下駄が注目の的になるのは子供心にもうれしかった」と話す二代目、昭廣さん。従来の下駄の概念にとらわれない様々な下駄を作るようになったのは、そんな素地があったからといえそうです。

年に10点は新作発表

通常とは違うものを作るためには、特別な道具も必要になります。削ったり、曲げたり、えぐったり、穴をあけたり…、そのために必要な規格外の刃物は、特注で作ります。このように、お金も時間も惜しまず注ぎ込んで作る新作には、発表の時期になると、「今年はどういうのができました?」と問い合わせがくるほど。「ありがたい。励みになっています」と 昭廣さん。

リピーターも出現

アイデアをひねり出し、心血を注いで作る新作には、東京や埼玉からわざわざ買い求めにきてくれるリピーターもでてくるようになりました。今や三代目・武史さんも、職人歴10年のベテランに。エイの皮を張った粋で重厚感のある下駄や、新素材の炭素繊維をメッシュ状に組んで張った下駄など、父・ 昭廣さんも舌を巻く斬新な下駄を生み出しています。

 

木取り。1,2年おいた丸太から下駄の大きさに近い四角いブロックに切り出します。

4ヶ月ほど外で風雨にさらし乾燥させます。表面はあくが染み出して黒くなっています。

組取り。表面を削り真っ白になったブロックを、糸のこで下駄の形にくり抜きます。

細かい部分をカンナ、ノミを使い整えます。埋め木をするなどして、表面もすべすべにします。

天然の目止め剤、との粉を塗ります。生地の色を変えず、渋いつやを出すことができます。

鼻緒を付けます。写真の鼻緒は皮をなめして作った印伝。足に柔らかくフィットします。

 

ここが匠の技!

日用品としての需要は少なくなった下駄を「ファッションのアイテム」として甦らせた桐乃華工房。「工芸の世界は皆そうですよ」…時代の流れに合ったものを研究し、やり方を変えていかないと生き残れないという現実を受け止めて、従来の型から飛び出し、活路を見出しました。ジーンズの足元をおしゃれに演出する下駄など、和でも洋でも履ける「趣味の履物」として現代生活の中に新たな下駄を根付かせつつあります。

とはいえ「柾目は下駄の王様だと思っている」と話す昭廣さん。日本の文化、履物の元祖としての下駄。その下駄作りの素材も技術も粋を集めて作られる柾目。創作下駄を作りながらも、その背景には「柾目の下駄」を守りたいという切実ともいえる願いがあります。

 

桐乃華工房 アラカルト

左上から、本漆塗りオリジナル下駄。エイの皮を張った下駄は、神の目と呼ばれる白い部分の大きさがそろうまで作れない貴重品。カラス表の手編みのぞうり下駄。印伝の花緒で上品な仕上げに。合成繊維を使用したデザインクロスのモダンな下駄、グリップ性も強く、履き心地は抜群。山ブドウの桐下駄。

Information

桐乃華工房
住所 茨城県筑西市関本上345
営業時間 8:00〜17:30
定休日 土曜・日曜
お問い合わせ TEL:0296-37-6108
桐乃華工房

 

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