茨城県の南部に位置し、北西部にはかっぱで有名な牛久沼のある龍ヶ崎市。そのほぼ中央に、大正3年創業の煎餅処「鍵林」はあります。この独特な店名は屋号「鍵屋林兵衛」からきています。「どうもこの辺一帯は江戸時代に鍵を作っていたらしい。他にも鍵屋文兵衛もいるし鍵屋久兵衛もいる。この前うちにお煎餅を買いに来てくれたお客さんの家が鍵屋儀兵衛だと分かって、またまたびっくり」と話すのは4代目社長・瀬尾紗衣子さん。創業者の孫にあたる夫、芳朗さんが享年50歳で亡くなり、以来18年間、同店を守り続けてきました。従業員を育て、様々な困難を新商品の開発などで乗り越えてきた瀬尾社長には「女傑」の2文字がとてもよく似合っています。

 

のり餅田舎揚げができるまで!

かた焼き煎餅から切り餅へ

創業当初は日本の煎餅の定番ともいえる、かた焼き煎餅一筋でした。ところが、昭和に入る頃になると輸入菓子が大量に出回るようになり、さらに製菓業大手も台頭。地方の小さな店では太刀打ちできず、深刻な経営不振に陥ってしまいました。その時に始めたのが切り餅作りです。いい米はあるし、水もいい。これを生かしたいと知恵を絞った結果でした。

揚げ餅シリーズが人気

その切り餅から、同店が元祖といわれる「揚げ餅」シリーズが誕生しました。竜ヶ崎産の米へのこだわりは強く、地元の農協と提携。その米をベストな状態で煎餅の素地にするための努力や工夫を重ねました。醤油は、醤油というよりほとんどタレのようなものになっています。使っては新しいものを足し、使っては足しを繰り返し、鍵林ならではの独特な味を生み出すようになりました。

四万十川ののりを使って

特に「のり餅田舎揚げ」は四万十川の青のりを使用。その香りを生かすために、基本の生地は特殊な製法で作っています。「これは企業秘密だから、教えてあげられない」と言いつつ、実は「面倒くさくて、他ではやれないってだけ。つまり、つくときにすごく手間をかけるってこと」と笑う瀬尾社長。のり入りの生地を焼いただけの「素焼きおかき」は、これまた絶品です。

 

竜ヶ崎横田農場の米。これが鍵林の煎餅の味と歯応えの大もとを支えています。

1日水に浸し、浸漬したもち米を昔ながらのやり方で蒸します。湯気が立ち昇ります。

蒸し上がったもち米をつきます。まさにもち肌を想像させるむっちりしたもちが完成。

職人さんが2人がかりでのします。ここの工程はあまり詳しくはご紹介できません。

冷やしてカット。カットしたものを乾燥させます。気温や湿度によって調整が必要です。

揚げられ、醤油で味付けられた後、包装されます。丁寧に一つひとつ箱詰めされます。

 

ここが匠の技!

平成9年に本社工場に開いた直売所。明るく気さくな瀬尾社長とおしゃべりしたくて訪れる客もいるほどです。一枚、一枚、人の手が触れることによって生まれる味こそ鍵林が守りたいと思っている煎餅の味。お客一人ひとりに直接手渡すこともその延長にあります。とかくきれいで均質なものを作りたがる大量生産のものとは、まさに正反対の姿勢です。季節によって変わる環境の中でも、手をかけることによって、素材の持ち味を十分に引き出し、目指す煎餅の味に到達できることを知っているからです。それを可能にしているのはもちろん、長年かかって築き上げてきた製法とそれを支える技があるからです。

100年になろうとする鍵林の後継者は現在工場を取り仕切っている北郷文康専務です。はじめは流通経済大学の学生としてアルバイトで鍵林に出入りしていた北郷さんが、後継者として名乗りを上げてくれた時には「ホッとした」と瀬尾さん。地域に根付き、その煎餅の味を忘れずにいてくれるお客さんのためにも、自分の代で途絶えさせるわけにはいかないからです。

 

鍵林製菓 アラカルト

揚げ餅4種に加え右下が「浮かれかっぱ」。同店を代表する商品で、県産コシヒカリで作った生地を丸1日天日干しし、生じょうゆで味を付けながらじっくり丹念に焼き上げたものです。さっぱりとして飾り気がなく、飽きのこないと評判です。左下が素焼きおかき。まさに生地のおいしさが煎餅好きをうならせる一品です。

Information

鍵林製菓本店
住所 茨城県龍ヶ崎市根町3359
営業時間 8:00~19:00
(日祝日は9:00~18:00)
定休日 年中無休
お問い合わせ TEL:0297-62-5881
鍵林製菓

 

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