徳川御三家の一角を占める水戸徳川家のお膝元。茨城にあっても水戸は、その長い歴史のせいか、典雅な和菓子の宝庫ともいわれています。まさに、その水戸を中心に7店舗を構えるのが今回紹介する「きね八」です。昭和50年に設立、地元の素材を生かした独創的な和菓子に、見た目も工夫したかわいらしい洋菓子、焼きたてパンまであり、おやつの時間を一層楽しいものにしてくれる商品を、バラエティ、豊かに開発してきました。大手スーパーのテナント、駅のキオスクなどに販路を拡大し、県内外にファンを増やしています。

 

「おいしいもー」ができるまで!

漂う手作りの温かさ

きね八のお菓子はどれをとっても、ほんのりと「温かさ」が漂ってきます。お菓子がベルトコンベアーに乗って、どんどんできるのを見ているのも楽しいものですが、この工場では一つひとつが手作り。素材を練るのは専門のあん練りガマですが、ここにも菓子職人、岩倉新二さんが傍らに立ち、片時も目を離さずに見守ります。

芋のホクホク感を出す

素材は鉾田産紅あづまのペースト。それに水戸市谷津の地タマゴの卵黄と生クリーム、グラニュー糖にバターを加えます。これをあん練りがまに入れ練ります。ここでの芋の水分を抜く加減が最も難しいところ。抜きすぎるとパサパサになり、抜き足りないとベタベタになります。「おいしいもー」のホクホク感は、ここでの加減で生まれます。芋のうまさが引き立った、岩倉さん会心の作となりました。

口の中ですぐには溶けない工夫

岩倉さんが開発するお菓子には様々な工夫が凝らしてあります。たとえば「西山の黄門さま」は、口の中でサッとは溶けず、柔らかさの中に歯応えのあるものを目指しました。小麦粉の美味しさも味わいつつ、小麦粉では歯応えがあり過ぎるところから、コンスターチを入れ、あの食感に到達しました。

 

卵黄と生クリーム、グラニュー糖、バターをボールで混ぜます。芋の美味しさを引き出す素材です。

芋のペーストと共によく練り、水分を飛ばします。飛ばし過ぎず、べたべたにならない加減が大切。

熱を加え頃合に練られたあんをボールに移し入れ、成型の準備をします。

絞るための袋に入れます。家庭でのお菓子作りと同じで、この辺はすべて手作業です。

一つひとつ絞り出し、型に入れていきます。あとはオーブンに入れられるのを待つばかり。

200度ぐらいのオーブンで焼きます。業務用の大きなオーブンです。

棚に並べ粗熱をとります。この段階ではお菓子の甘い香りがあたり一面に漂います。

一つひとつ、手で袋詰めをします。焼き締めたお菓子ではないので、包装も慎重に。

 

ここが匠の技!

職人として30年、様々なお菓子の開発に携わってきた岩倉新二さん。 柔軟な発想で、皮にわざとヒビを入れ、笑っているように見える、人気商品「笑い栗」も生み出しました。一方で、手作りでもムラのない商品を作る職人としての技も素晴らしいものがあります。同店の「常陸国印最中」の手作り工程では、見た人を感動させる職人技を見せてくれます。皮の中にへらひとすくいであんを入れ、求肥を切ってあんの中央に置く。そのリズミカルな動きは長い年月の間に鍛えられた技術と勘によるもので、プロを感じさせてくれます。

職場にいる岩倉さんは楽しそうです。自らのイメージと技術から生み出されたお菓子が、多くの人々を喜ばせていることが原動力になっているのかもしれません。

 

きね八総本舗 アラカルト

甘さを控えた芋の素朴で自然な味わいを楽しめる我妹(あづまいも)、味くらべ。我妹はシナモン味、味くらべはプレーンタイプです。栗が入った偕楽どらは、偕楽園の雰囲気を伝える包装が特徴。水戸百年(みとももとせ)は水戸の市制100年を記念した作ったもの。クルミ入りこしあんの中がパイ皮に包まれ人気の一品です。滑らかなクリームの口触りがたのしめる偕楽園の月もあります。

Information

きね八総本舗
住所 茨城県水戸市堀町954-2
営業時間 8:00~18:00
定休日 年中無休
お問い合わせ TEL:029-227-4130
きね八総本舗