茨城は、50軒以上の酒蔵が息づく関東一の酒造りの県です。中でも石岡市は、周囲の山々から湧き出る良質な地下水が豊富なことから、美味しい地酒の街として栄えてきました。同時に、7世紀に誕生した常陸国の中心地で、茨城県最古の都市といわれる歴史の街でもあります。今回訪問した石岡酒造は、同地の蔵元数社が、販売の一本化を目指して昭和34年に設立しました。戦国末期、大阪城落城の年に創業した蔵元も含まれ、昭和47年には製造も一本化し、現在では「醸造300年の技・日々これ吟味」をモットーに、品質の高い酒造りに邁進しています。

 

大吟醸 筑波「紫の峰」ができるまで!

「これが我が社の最高峰です」

「紫の峰」は紫峰・筑波山から由来する名前であり、同時に「至宝」を意識したネーミングです。その味わいは「フルーティーでバランスが良く、あっさりしているけど、コクがある」と語る冷水豊国(ひやみず・とよくに)社長。日本酒を何となく敬遠している若い世代にも、ぜひ味わってもらいたい自信作。おつまみは白身の魚などが合うそうです。

そもそも大吟醸とは

大吟醸は、コンクールに出品するために採算度外視で造られてきた究極の日本酒です。普通の酒造りの何倍もの手間と時間をかけ、素材の米からは想像もできない香りを引き出す技を競い合ってきました。同社には酒類総合研究所が主催する「全国新酒鑑評会」で何度も金賞を受賞してきた、輝かしい歴史があります。

100%自社精米、合計150坪の冷蔵施設も

使用米は酒造好適米の山田錦です。米の特性を十分に生かすために、精米は自社で実施しています。米の由来に責任が持てるという意味でも精米の重要性は大きく、同社では規模の大きな精米施設を用意しました。貯蔵、熟成から出荷まで最適温度を保つために、合わせると150坪もの広さになる冷蔵庫を有しています。

 

精米。「心白」と呼ばれる中心部分を残すように、外側を削ります。大吟醸は65%も削り落してしまいます。

洗米、浸漬。水洗いし、一定時間水に浸けて吸水。大吟醸は数分。ストップウオッチ片手に秒単位まで管理。

蒸米。蒸し終わった米は広げ、余熱を取り、水分を均一に蒸発させます。麹やもろみ造りにとって重要な工程。

麹造り。蒸した米に麹菌をふりかけ、厳密な温度管理の下で約48時間。麹菌の増殖を進め、麹を作ります。

酒母、もろみ造り。麹、仕込み水、蒸米を混ぜ、酵母を加え酒母造り。さらに麹、仕込み水、蒸米を投入しもろみに。

上槽。完成したもろみをゆっくりと絞ります。大吟醸の場合はもろみを袋に入れ、滴り落ちる酒を斗瓶に集めます。

 

ここが匠の技!

大吟醸のフルーティーな香りをどうやってだすのか。「あれから、こういう香りが出るんだ」と驚かせるのが、技術者の腕の見せどころ。麹が米のデンプンを食べて糖にし、その糖を酵母がアルコールに変えるという、日本酒の製造工程は複雑です。酵母が糖を分解する時に香気成分を出すので、大吟醸では特に酵母培養の温度を下げ「いじめ」ます。酵母が生きるか死ぬかまでのギリギリのラインで管理することで、極限状態に追い込み高い香りを放出させます。死んでしまっては元も子もないので、その間は厳密に管理する必要があり、時間も手間もかかるわけです。

「値段の高い、安いは原価の違い。うまい、まずいはその人の好み」。酒造りの方向性を考え続けてきた冷水社長だからこそ、「おいしい」の難しさを身を持って知っているということでしょうか。結局は口に合うかどうかが大切だとすれば、「私と同じ好みのお客と出会う」酒造りを目指すことにしたのだそうです。

 

石岡酒造 アラカルト

筑波シリーズのラインナップです。左から飽きのこない味わいで、シリーズの中のスタンダードといわれる特別純米酒、果実の芳香のような香りが口中に広がる吟醸酒「薫風の峰」、モンドセレクション金賞を2011年、2012年と連続して受賞した純米吟醸「翔雲の峰」、米の持つ旨みを最大限に引き出した純米大吟醸「豊穣の峰」、贈答に最適と同店推奨の大吟醸「天平の峰」。

Information

石岡酒造株式会社
住所 茨城県石岡市東大橋字深久保2972
お問い合わせ TEL:0299-26-3331
石岡酒造