茨城県をおよそ東西に貫くJR水戸線、始発の水戸駅から約1時間乗った先にあるのが下館駅です。その下館駅から徒歩10分のところに「菜香や(なかや)」はあります。2005年の市町村合併で行政上の住所・下館の名前は消え、筑西市となったものの、「関東の大阪」と呼ばれた商都のなごりと、周囲に広がる田畑がバランスよく交ざり合った、周辺地域の中心都市です。ここで収穫された豊富な野菜から、「菜香や」の無添加漬物が誕生しました。遠藤なかさんが素朴に、昔ながらのやり方で漬け込んだ「おふくろの味」が評判になり、その味で育った息子・記生(のりお)さんが「菜香や」として起業。今ではその味を忘れられない各地のファンから、旬の野菜を使った漬物の注文が、季節ごとに届きます。

 

昆布白菜漬ができるまで!

食卓にはいつも漬物があった

野菜生産量が豊富なこの地域では、近所からの野菜のお裾分けも多く、遠藤家の食卓にはいつも漬物がありました。野菜を分けてくれた先方に漬物でお返しをするうちに、「なかさんの漬物はおいしい」と評判になり、依頼が舞い込むようになったのです。自分にとってはなじみ深い、普通の漬物が、こんなに評判になるのはちょっと不思議な気持ちだった記生さん。

素材の味と香り、余計な手を加えない

人工の旨み成分に慣らされていた現代人にとっても、新鮮な味わいの漬物だったのです。野菜の繊維などの特徴を見極めるために、機械を使わず手で切り分けます。保存料も合成着色料も化学調味料も入れず、素朴に漬け込むのが、なかさんの製法です。塩分の加減や重石の乗せ方など、昔からの知恵を受け継いでいるからこそできる技ですが、もちろん、素材となる野菜そのものがおいしいこと、新鮮であることは必須条件です。

漬物に合う野菜を農家に依頼

だから野菜の選択は厳密です。茨城の伝承野菜を中心に、鮮度を重視した生産者とのつながりをしっかり築いています。白菜は甘味が強く、日本一おいしいと人気のある銘柄「新理想白菜」を使います。瓜の季節になれば絶対欲しいのが「白はぐら瓜」です。果肉は厚い割に柔らかく、外皮も柔らかなので、漬物の繊細な味が浸透しやすいという特徴があるからです。

 

素材を目で確認。「野菜の声を聞きながら」品質をチェックします。

野菜の水分状態や鮮度を確認し丁寧に水洗いをします。

塩を振り、少し寝かせます。塩は静岡県駿河産の「あらしお」を使用。

白菜の根元部分を踏みます。繊維を壊して塩分が入りやすくします。

漬け上がり状態をチェック。芯の白、内部の黄色、外側の緑が美しいです。

昆布と唐辛子を色取りよく配し、酸化を防ぐために空気を抜いて密閉。

 

ここが匠の技!

まさに手作りです。流しで白菜を一つひとつ洗い、余分な葉を取り除き、包丁を入れます。なかさんの動きには迷いがなく、注意深くはありますが、大胆です。長年やってきたことを「極々当たり前」に続けている様子が見てとれます。流通のルートに乗せることや大量生産を運命付けられている大手企業には難しいことも、茨城の小さな会社だからこそできる味わい深い漬物です。

コンピュータープログラマーとして約10年、サラリーマン生活を経て、11年前に菜香やを立ち上げた遠藤記生さん。思いは「人を喜ばせたい」でした。母、なかさんとの二人三脚も息がぴったりで、生産現場は母に任せ、製法の数値化、販路拡大や事務の電算化などを担っています。

 

菜香や アラカルト

生姜とミョウガを混ぜてさわやかに仕上げた胡瓜香り漬。昆布と人参を加えサラダ感覚で食べられるあっさりセロリ漬。天然の梅酢で漬けた山芋うめ。歯切れの良いブルーム胡瓜をさっぱりと漬け込んだ胡瓜しば漬。昆布白菜漬。山芋のサクサク感と和カラシの絶妙コンビ、山芋からし漬。

Information

有限会社 菜香や
住所 茨城県筑西市下中山595-4
営業時間 9:00~17:00
定休日 日曜、祝日(但し電話予約可)
お問い合わせ TEL:0296-21-0566
菜香や