茨城県は大洗。外洋に面し、海の恵みをたっぷり受けたこの町で、100年以上も前に海産物販売をスタートさせたのが飯岡屋水産です。明治29年創業、まさに老舗の名にふさわしい長い年月を、時代と共に生き抜いてきました。製造部門を充実させたことから、種類も量も豊富で、新鮮なひものが人気です。現在では町中に4店舗、製造工場や冷凍倉庫を合わせると9カ所の拠点のある、大洗屈指の海産物製造、販売の店になりました。大洗は3・11の大地震で被災し、現在着々と復興への道を歩んでいます。「うちにひものを買いに来たお客さんが、大洗の町をにぎやかにする。そんな風になるように、まだまだ頑張ります」と話す関根勝副社長です。

 

ひものができるまで!

海の恵みを商品化

創業時は、販売のみでした。当時たくさん取れたシラスを、漁師が自ら茹でて売り歩いているのを見て、買い取っては手広く売り始めたのが、現在に至る水産業の第一歩です。その後シラスを始め煮干しや小女子の加工を自社で行うようになり、製造と直売の両輪を得て、会社は飛躍しました。それこそ「大洗の海から揚がるものは何でも」(関根副社長)加工して販売したのが原点です。

魚が足りない!

今、実は大洗の海から揚がるものだけでは量が足りず、残念ながら原材料は輸入に頼っています。直売店に加え、大型スーパーなどにも卸しており、絶対量の確保が必須だからです。 オランダ、アイルランドまで出かけ、船一隻分まるごと買い上げてきた時代もありました。ところが、魚が足りないのは大洗だけの事情ではありません。

原料確保が年々困難に

世界の海の事情が食卓を直撃しているのは、ニュースを見るまでもありません。たとえばホッケ。脂がのったしまホッケが取れる海域はアラスカですが、その海域にトドがいます。日本では漁具を破壊するなど嫌われるトドですが、アメリカ、ロシアでは保護の対象になっており、格好の漁場が禁猟区になってしまったのです。そんな例は枚挙にいとまがありません。各国の思惑がからんだ国際事情の中で、原材料の確保は年々困難になっています。

 

冷凍のまま運び込まれる原材料を半解凍します。

魚を開き、わたを取り、水で洗います。

独自の漬け汁に漬け込み、冷風乾燥。

急速に冷凍します。

丁寧に包装します。

商品が完成。写真は「緑茶一番干しシリーズ」。

 

ここが匠の技!

熟練した職人の存在と、旨みがギュッと詰まった独自の漬け汁が、飯岡屋水産の財産です。100年を超える歴史の中で育まれた伝統の力から、農林水産大臣賞を受賞した「大洗産のしらす干し」、水産庁長官賞受賞の「きんき干し」、大日本水産会会長賞の「焼はまぐり」は誕生しました。

総務兼営業部長として、同社の舵を取る松本隆取締役です。口は悪いが心はホット、実は優しい大洗の男の代表格です。

 

飯岡屋水産 アラカルト

写真中央は、厳選された新鮮なあわびを独自の味付けと加工技術で、貝の旨みを引き出した味付け貝。あさりやはまぐりなどの詰め合わせもあります。写真右、定番のみりん干しも人気です。写真左は「焼はまぐり」。そのほか、緑茶から抽出したカテキンを含む漬け塩で味付けした緑茶一番干しシリーズや、純米酒を利かせた漬け汁でくさみを消したシリーズもあります。「保存食とは思わずに、すぐ食べてほしい。ふんわりとした、香りのよいひものが楽しめるはずです」と同店。

Information

飯岡屋水産・本店
住所 茨城県大洗町磯浜町679
営業時間 7:30〜18:00
定休日 元旦のみ
お問い合わせ TEL:029-267-2839
飯岡屋水産